古代・中世に力点をおいたヨーロッパ政治経済史

清水貞俊(著)

 

サイズ:6449KB

刊行:2018年9月15日

 

¥1,000(税別)

 

内容

 

EUの形成から現在に至るまでの経済・政治活動を、時系列に沿い体系的に網羅した。

 

第1章 古代ギリシア

第2章 古代ローマ

第3章 ゲルマン民族の大移動

第4章 フランク王国

第5章 イスラム教徒の動き

第6章 中世の産業と経済―9世紀以後に力点を置いて

第7章 イタリア北・中部の都市国家

 

2016年になってイギリスが国民投票でEU離脱を決定した。まだ離脱はしていないが離脱の交渉が続いている。EUの統合をおし進めようとする力、これをここで求心力と呼び、EUから離脱しようとする力を遠心力と呼ぶならば、最近遠心力がかなり増加してきているように思える。EUの中で比較的経済力・政治力の弱い国、例えばイタリア、ギリシャ、スペイン等で、遠心力が強まっている恐れがあるが、それにとどまらず、EUの推進力となっている国、例えばドイツやフランスでもそのような傾向がでてきている。ギリシャでは財政赤字に対するEUの締めつけに対する反撥が遠心力を強め、またイタリアではEUの規制に反撥する「五つ星運動」や移民排斥を掲げる「同盟」が力をつけてきている。フランス、ドイツでも反移民などをかかげて極右政党が力をつけてきている。

遠心力が力をつけてきた原因であるが、一つは各国の経済・財政事情の困難から各国はナショナリズムが力をつけてEUの超国家主義に反撥しだしたこと、中東やアフリカからの移民の増加などがあるだろう。

帝制ローマの末期近くに、ドナウ川北方からの、いわゆる「蛮族」の浸入が、やがてはローマ帝国の屋台骨を搖るがすものと発展していったし、又フランク王国の末期において中央における王権の弱体化が諸領主の力を増大させたことなど多くの点で学ぶべきことがあるだろう。

EUは統一的な農業政策、単一通貨の採用、財政政策の一定の調整等、求心的政策を実施しており、簡単に崩壊することはないと思うが、最近の遠心力的動きには注意すべきだろう。独仏間の戦争を繰り返さないことを願ったシューマンの願いがECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)からEEC(EU)へと発展し、ヨーロッパのほぼ全域を覆う規模となった。この不戦の誓い、汎欧州運動の一つの結末であるが、願わくは、この欧州運動が世界運動へと発展し、世界政府、世界連邦へと発展し、世界は一つ、地球は一つとなって戦争のない世界の実現を乞い願ってやまない。

(第2版への序文より抜粋)

 

【著者プロフィール】

清水貞俊(しみず・さだとし)

立命館大学経済学研究科修了(経済学修士)

立命館大学名誉教授国際関係学博士

日本国際経済学会・日本EU学会・日仏経済学会所属