介護歌集 百年分の介護して

ひまわりの歌 優子よ

安部喜美子(著)

 

サイズ:90423KB

刊行:2018年6月26日

 

¥1,000(税込)

 

内容

 

私は胎児性の病気で生まれながらにして寝たきり、全介助の娘を三十六年四ヶ月、この手で介護して、平成二十年三月二十日、亡夫のもとへ送った母親でございます。

受胎二ヶ月目、いまだ人としての形をなさないうちに、トキソプラズマ血中という、犬猫が路上に排泄した便の中に潜んでいて、その便が乾燥し、それが空気中に舞い上がり私の知らないうちに、本当に運悪く私の口から呼吸という無意識に行っている行為の中で体内に入り、母体には何の自覚症状も出ないまま、すべて胎児へと行き攻撃され、その後の人生を予想だにもしなかった方向へと向かわされてしまいました。大体トキソに冒されると流産か死産になるそうですが、娘の生命力が打ち勝ったのでしょうか、一ヶ月早い早産ではありましたがこの世に生を受けることが出来ました。

新生児室より私のもとへ手渡されたのは、生まれて三日後。今考えると、その時が私たち家族の、娘の障害とそれに伴う病苦との戦争の始まりだったのです。

それから三十年、重い心臓病の夫と力を合わせて、ややもすると消えそうになる娘の命の炎をともし続けました。

生後四ヶ月の時に、ある大学の名誉教授の診察で「犬猫にも劣る子で、真綿に包むようにして子で、真綿に包むようにして育てても、露の如く消える命」と宣言されたのにもかかわらず、幾度となく復活を重ね、私たち夫婦の生きる希望の光となってくれました。(はじめに より)

 

難病を抱えて産まれた子と家族の軌跡を辿る歌集です。

短歌の形式では収まらない、溢れる愛情で詠み上げる一冊。

子と家族、家族と世間、多くのしがらみと偏見を乗り越えた実体験闘病記。

電子書籍版刊行。